八王子の行政書士が語る、相続でもめやすい“普通の家族”の特徴と対処法
相続と聞くと「大きな財産を持つ家庭の話だろう」と思われがちですが、実は“普通の家族”ほど相続でもめる傾向があります。本記事では、八王子を拠点に活動する伊橋行政書士の立場から、なぜ普通の家族が相続でもめやすいのか、またその対策について具体的にわかりやすくご説明します。
相続でもめる“普通の家族”とは?家裁の統計が示す現実
家庭裁判所における遺産分割の調停・審判になった事件を分析すると、資産額が**5,000万円以下のケースが70%以上**を占めており、そのうち**3分の1は1,000万円以下**であるという統計があります。つまり、資産がそこまで巨大でない家庭でも、相続の場面では紛争に発展しやすいのです。
一方で、相続税の申告が必要になるのは“全体の8%程度”にすぎません。すなわち、相続税の問題がなければ争いが起きない、というのは誤解なのです。
この事実が示すところは、「財産が少ない普通の家族」でも相続でもめる可能性は十分ある、ということ。そして、それを防ぐには“事前対策”が重要です。
普通の家族が相続でもめやすい3つの特徴
1. 財産が“目に見えにくいもの”であること
普通の家庭では、不動産、預貯金、株式などの資産が混在していることが多く、どこにどれだけの資産があるかが家族間で把握されていないケースがあります。特に、土地の共有持ち分や小さな預金口座、生命保険の受取金などが争点になりやすいのです。
2. 家族間の暗黙の了解や“慣習”が前提になっていること
「長男が実家を継ぐ」「面倒を見てきた者が多く取る」など、口約束や慣習的な考え方が根付いている場合、それが相続の場で“不公平”と感じる者が出てきます。話し合いではその“慣習”を前提にする人と、法律的にフェアさを求める人とで対立することが少なくありません。
3. 遺言や書面での意思表示がないこと
遺言書を残していないと、相続人全員の合意がなければ遺産分割協議が成立しません。特に、親世代と子世代の価値観ギャップがあると、話し合いが困難になり、最終的に調停・審判に持ち込まれることがあります。
なぜ“少額の相続”で争いになるのか?背景を理解しよう
少額の相続だからこそ、家族の期待や思いが前面に出やすくなります。一方、税金の問題や弁護士を頼むほどの余裕もないため、当事者同士で揉める可能性が高くなります。
また、財産が少ないと感じて分けても“公平さ“を求める声が強くなりがちです。たとえば、生前贈与をした/しなかった、介護や面倒見てきた時間の差などが争点になり、個人の感情が関わってくるため、話がこじれやすくなります。
“相続でもめないための事前対策”5つのステップ
ステップ1:資産の洗い出しと家族での共有
まず、どこにどんな資産(不動産、預貯金、保険、株式、負債など)があるかを正確にリストアップし、家族と共有しておきましょう。相続が近づく前から透明性を持たせておくことで、不安や疑念を軽減できます。
ステップ2:遺言書を作る
公正証書遺言や自筆証書遺言(法務局で保管可能)を活用し、明確な意思表示を残しましょう。遺言書があるだけでも、相続人間の争いを回避する効果は高くなります。
ステップ3:生前贈与や連帯保証整理を行う
一定の範囲での生前贈与(暦年贈与等)を有効に活用したり、相続開始前に借入金・連帯保証・債務関係を整理しておくことも対策になります。
ステップ4:家族信託や遺産分割協議書の準備
家族信託を活用して資産の承継先をあらかじめ定める方法もあります。また、将来の分割方針案をまとめておき、相続発生後にそれを基に家族で協議する仕組みを用意しておくと安心です。
ステップ5:専門家(行政書士・不動産業・税理士)への相談
「遺言ってどう書けばいいか分からない」「事例に応じた分け方を提案してほしい」など、専門家に相談することで、法務・税務・実務の観点からバランスの良いプランを一緒に設計できます。
八王子・近隣で事前対策を始めるには
まずは、地元八王子市や多摩地域で実績のある「八王子多摩相続遺言お悩み相談所・伊橋行政書士法務事務所」に相談することをおすすめします。地域を知っている専門家なら、地価感覚や家族構成、地元慣習も踏まえた現実的なアドバイスができます。
当事務所でも、初回相談(30分~1時間程度)で、ご家族構成や資産状況をお伺いし、「争いを避けるための対策案」を一緒に整理するお手伝いをしております。
まとめ:普通の家族だからこそ、知らぬ間に争いが起こる
・遺産分割の調停・審判事件の多くは、資産5,000万円以下、さらにそのうち3分の1は1,000万円以下という家庭で起こっています。
・相続税の申告が必要なのは全体の8%程度にすぎません。つまり「税金がかからない相続」でも争いは起こるのです。
・だからこそ、普通の家族こそ“事前対策”が不可欠。資産の洗い出し、遺言、公平性を意識した協議案、専門家相談などのステップを踏むことが、争いを防ぐ鍵となります。
相続は“最後の親孝行”にもなり得ます。紛争で心を傷めず、家族円満に次の世代へつなげるために、できる対策を早めに始めましょう。ご相談はお気軽にお問い合わせください。
TEL042-678-5225