「親なきあと」の不安と「所得制限の壁」―障害のある子を持つご家族へ、行政書士がやさしく解説
こんにちは。八王子市の「親なきあと問題」を専門とする伊橋行政書士です。
2026年2月、日本財団が発表した調査結果で、障害のある方のご家族の86%が「親なきあと」に不安を抱えていることが明らかになりました。特に重度知的障害のあるお子さんをお持ちのご家族では、その割合は93%にものぼります。
さらに、障害のあるお子さんを育てるご家庭には「年収が1円増えただけで手取りが68.2万円減る」という深刻な”所得制限の壁”問題も存在しています。
今日は、これらの課題について、わかりやすく、そして少しでも前向きになれるような情報をお届けします。
86%のご家族が抱える「親なきあと」への不安
日本財団の調査によると、障害のあるお子さんやご家族を持つ方々の86%が「親なきあと」に強い不安を感じています。
なぜこれほど多くの方が不安を感じているのか
「自分たちが亡くなった後、この子は誰が面倒を見てくれるのだろう」
「財産管理はどうすればいいのだろう」
「きょうだいに負担をかけたくない」
こうした声は、私が日々ご相談をお受けする中でも、本当によくお聞きします。特に重度の知的障害があるお子さんの場合、日常生活のサポートから金銭管理、医療や福祉サービスの利用まで、すべてにわたって親御さんのサポートが不可欠です。
調査では、相談したい相手として「兄弟姉妹やほかの親族」を挙げる方が多い一方で、実際には「きょうだいに負担をかけたくない」という葛藤を抱えている方も少なくありません。
「親なきあと」に備えるために知っておきたいこと
親なきあと問題は、決して一人で抱え込む必要はありません。以下のような制度や仕組みを活用することで、お子さんの将来をしっかりと守ることができます。
◆成年後見制度
判断能力が不十分な方の財産管理や契約行為を、後見人がサポートする制度です。元気なうちに「任意後見制度」を利用して、信頼できる人を後見人候補者として選んでおくこともできます。
◆民事信託(家族信託)
親御さんが元気なうちに、信頼できる家族に財産を託し、お子さんのために使ってもらう仕組みです。成年後見制度よりも柔軟な財産管理が可能です。
◆遺言書の作成
お子さんに確実に財産を残すため、また、きょうだいなど他の相続人とのトラブルを防ぐためにも、遺言書の作成は非常に重要です。
◆障害者扶養共済制度
親御さんが毎月一定額を掛け金として納めることで、親御さんが亡くなった後、お子さんに毎月一定額の年金が支給される制度です。
伊橋行政書士からのアドバイス:
「親なきあと」の準備は、できるだけ早く、そして元気なうちに始めることが大切です。専門家に相談しながら、お子さんの将来を見据えた計画を一緒に作っていきましょう。

障害児家庭を追い詰める「所得制限の壁」
もう一つ、障害のあるお子さんを育てるご家庭が直面している深刻な問題が、「所得制限の壁」です。
「年収が1円増えたら手取りが68.2万円減る」という現実
障害のあるお子さんを育てるご家庭には、「特別児童扶養手当」という制度があります。これは、精神または身体に障害のある20歳未満の児童を育てている方に支給される手当です。
しかし、この手当には所得制限があります。
たとえば、年収が所得制限の基準をわずか1円でも超えてしまうと、特別児童扶養手当(1級で年間約62万円、2級で年間約41万円)が一切支給されなくなります。さらに、自治体によっては医療費助成や他の福祉サービスも同時に打ち切られることがあり、実質的に手取りが60万円以上減少するという事態が起きています。
「働きたいのに働けない」というジレンマ
障害のあるお子さんの育児には、通常の育児以上に時間も費用もかかります。療育施設への通所、医療機関への定期受診、特別な介護用品の購入など、支出は決して少なくありません。
それなのに、「所得が少し増えただけで手当がゼロになる」という仕組みは、親御さんたちを「働きたいのに働けない」というジレンマに追い込んでいます。
SNS上では、
「賃上げで、たった数万円、基準を超えただけで、特別児童扶養手当がゼロになった」
「訪問看護が”自費”になると、1時間数千円かかる。生活が成り立たない」
といった切実な声が数多く寄せられています。
立憲民主党が所得制限撤廃の法案を提出
こうした当事者の声を受けて、立憲民主党は「特別児童扶養手当」の所得制限を撤廃する法案を国会に提出しました。この動きは、障害児家庭への支援拡大に向けた大きな一歩となる可能性があります。
所得制限の撤廃が実現すれば、親御さんたちは収入を気にせず働くことができ、家計も安定し、お子さんにより良い療育環境を提供できるようになります。
伊橋行政書士からのアドバイス:
所得制限に悩んでいる方は、まずお住まいの自治体の福祉課や障害福祉担当窓口に相談してみてください。自治体によっては独自の支援制度を設けている場合もあります。また、収入の調整が難しい場合は、将来に向けた財産管理の方法(民事信託など)も選択肢の一つです。
伊橋行政書士ができること
私たち「一社)いきいきライフ協会八王子東・伊橋行政書士法務事務所」は、障害のあるお子さんとそのご家族が、安心して暮らせる未来をつくるお手伝いをしています。
具体的な支援内容
◆成年後見制度の申立書類作成
法定後見や任意後見契約書の作成をサポートします。
◆遺言書の作成支援
お子さんの将来を見据えた、適切な遺言書作成をお手伝いします。
◆民事信託(家族信託)の設計・契約書作成
柔軟な財産管理が可能な信託の設計と、契約書作成を行います。
◆各種福祉制度の利用に関する相談・手続き支援
複雑な福祉制度について、わかりやすくご説明し、手続きをサポートします。
◆ライフプラン・エンディングノートの作成支援
お子さんの生活、医療、福祉、財産管理など、包括的な将来設計をお手伝いします。
最後に―「ひとりで悩まないでください」
「親なきあと」の不安、所得制限の壁、きょうだいへの負担…。障害のあるお子さんを育てるご家族が抱える悩みは、本当に大きく、そして複雑です。
でも、どうか一人で抱え込まないでください。
専門家に相談することで、見えなかった選択肢が見えてきます。利用できる制度が見つかります。そして何より、「ああ、一人じゃないんだ」と思えることが、大きな支えになります。
私たち「一社)いきいきライフ協会八王子東・伊橋行政書士法務事務所」は、法律と制度の専門家として、皆さまの不安に寄り添い、一緒に解決策を考えていきます。
まずは、お気軽にご相談ください。お子さんの笑顔と、ご家族の安心のために、全力でサポートさせていただきます。