2024年税制改正で贈与のルールが大きく変わりました|相続に備えて知っておきたいこと

こんにちは。相続・遺言を専門とする八王子市の「感情を翻訳する行政書士」伊橋です。2024年の税制改正により、生前贈与に関するルールが大きく変更されました。「これまで毎年コツコツと贈与してきたけれど、このままで大丈夫?」「親から聞いていた相続対策は今も有効なの?」といった不安をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

今回は、50代から70代で相続が発生した方、あるいはこれから相続対策を考えている方に向けて、2024年税制改正のポイントをわかりやすく解説いたします。

税制改正で「贈与の常識」が大きく変わりました

2024年の税制改正により、生前贈与に関するルールが大幅に変更されました。特に注目すべきは次の2点です。

【改正のポイント】
① 相続時精算課税制度に年110万円の基礎控除が新設
② 暦年課税における持ち戻し期間が3年から7年へ段階的に延長

これらの変更は、相続対策として生前贈与を活用してきた多くの方々に影響を及ぼします。まずはそれぞれの制度について、丁寧に見ていきましょう。

相続時精算課税制度がより使いやすくなりました

相続時精算課税制度とは、60歳以上の父母または祖父母から、18歳以上の子や孫に対して財産を贈与する際に選択できる制度です。2,500万円までは贈与税がかからず、相続時にその贈与財産を相続財産に加算して相続税を計算する仕組みです。

これまでこの制度には「一度選択すると暦年課税に戻れない」「少額の贈与でも申告が必要」といったデメリットがあり、利用をためらう方も少なくありませんでした。

しかし、今回の改正で年110万円までの基礎控除が新設されました。これにより、年間110万円以下の贈与であれば、申告不要かつ相続財産に持ち戻す必要もなくなりました。夫婦それぞれから贈与を受ければ、合計で年220万円まで非課税で受け取ることができます。

たとえば、お父様から100万円、お母様から100万円の贈与を毎年受ける場合、どちらも110万円以下なので申告不要です。しかも、相続が発生した際にこれらの贈与は相続財産に加算されません。相続時精算課税制度がぐっと使いやすくなったと言えるでしょう。

暦年贈与を活用していた方は要注意です

一方で、暦年課税を利用して毎年110万円ずつ贈与していた方は注意が必要です。

暦年課税とは、1年間(1月1日から12月31日まで)に受けた贈与の合計額から基礎控除110万円を差し引いた金額に対して贈与税がかかる制度です。多くの方が「毎年110万円までなら贈与税がかからない」という認識で、長期にわたって少しずつ財産を移転してきたのではないでしょうか。

しかし、これまでは亡くなる前3年間の贈与が相続財産に加算されるというルールがありました。今回の改正では、この期間が段階的に7年間に延長されることになりました。

【持ち戻し期間の延長スケジュール】
2024年1月1日以降の贈与から適用開始
段階的に3年→4年→5年→6年→7年と延長されます

ただし、急激な負担増を避けるため、4年目から7年目までの贈与については総額100万円まで控除されるという配慮措置が設けられています。つまり、極端に不利になるわけではありませんが、相続対策として長期的に贈与を続けてきた方にとっては、計画の見直しが必要になるかもしれません。

具体的にどんな影響があるのでしょうか

では、実際にどのような影響があるのか、具体例で考えてみましょう。

【ケース1:毎年110万円ずつ贈与していた場合】
たとえば、お父様が10年間にわたって毎年110万円ずつお子様に贈与し、2024年に亡くなったとします。改正前であれば、亡くなる前3年間の330万円(110万円×3年)が相続財産に加算されました。しかし改正後は、7年間の770万円が加算対象となります(ただし100万円控除があるため、実質670万円が加算)。

【ケース2:相続時精算課税を選択した場合】
一方、相続時精算課税制度を選択していた場合、毎年110万円以下の贈与であれば申告不要で、かつ相続財産に加算されません。結果として、暦年贈与よりも有利になるケースが出てきました。

このように、ご家族の状況や贈与の金額、期間によって、どちらの制度が有利かは異なります。

今後の相続対策はどうすれば良いのでしょうか

今回の税制改正は、相続対策として生前贈与を活用されてきた方にとって大きな転換点です。これまでの「常識」が通用しなくなるケースもあります。

大切なのは、ご自身の状況に合った対策を選ぶことです。たとえば、以下のような点を検討する必要があります。

・相続財産の総額はどのくらいか
・相続人は何人いるか
・不動産などの分けにくい財産があるか
・すでに生前贈与を行っているか
・今後の贈与計画をどうするか

相続対策は「早く始めるほど選択肢が広がる」というのが基本です。しかし、焦って間違った対策をしてしまうと、かえって税負担が増えたり、家族間のトラブルに発展したりするリスクもあります。

不安を感じたら、まずはご相談ください

「自分の場合はどうすれば良いの?」「すでに贈与してしまったけれど大丈夫?」「今からでも対策できる?」といった疑問や不安をお持ちの方は、どうぞお気軽にご相談ください。

「八王子多摩相続遺言お悩み相談所」・「伊橋行政書士法務事務所」は、相続・遺言の専門家として、お一人おひとりの状況に合わせた最適なアドバイスをさせていただきます。税制改正の内容をわかりやすく説明し、今後の対策について一緒に考えていきましょう。

相続は「争族」とも言われるように、財産をめぐるトラブルが起きやすい場面です。しかし、適切な準備と対策を行うことで、ご家族が安心して次の世代に財産を引き継ぐことができます。

「何から始めたら良いかわからない」という方も、まずは現状を整理することから始めましょう。財産の棚卸し、相続人の確認、そして税制改正を踏まえた今後の計画。一つひとつ丁寧に進めていけば、必ず道は開けます。

あなたとご家族の安心のために、私たちがお手伝いいたします。

参考記事:
「2024年税制改正で”贈与の常識”が激変。夫婦で220万円の非課税枠も」
https://news.yahoo.co.jp/articles/7fe827a5406cb92592cb3745bd341508da416695