認知症に備える家族信託(民事信託)とは?|八王子市の行政書士がやさしく解説

近年、高齢化が進む中で「認知症に備える」ことの重要性がますます高まっています。特に、資産管理や相続の面では、認知症によって本人の判断能力が低下する前に、しっかりとした備えをしておくことが求められます。その有効な手段として注目されているのが「家族信託」です。

本記事では、八王子市で行政書士として活動する筆者が、認知症対策としての家族信託について、わかりやすく解説します。

家族信託(民事信託)とは?基礎からやさしく解説

家族信託とは、信頼できる家族などに財産の管理や運用を任せる仕組みです。具体的には、財産を持つ「委託者」が、財産を託す「受託者」を決め、受益者のために管理をしてもらうという契約を結ぶものです。

たとえば、認知症のリスクがある親が、元気なうちに信頼できる子どもを受託者に指定し、将来にわたって不動産や預貯金などの財産を管理・処分してもらうといった形で使われます。

この制度により、認知症を発症して判断能力が低下したとしても、受託者が事前の契約に基づいて財産を適切に管理・処分できるため、資産の凍結を防ぐことができます。

八王子市で注目される背景|地域の実情と家族信託の必要性

八王子市では高齢化が進み、65歳以上の人口が市の約3割を占めています。こうした状況の中で、認知症による資産管理の問題や相続トラブルのリスクが現実のものとなりつつあります。

特に、長年暮らした自宅の売却や、施設入所に伴う資金の管理など、柔軟な判断と手続きが求められる場面では、認知症発症後にできることが限られてしまうという課題があります。

その点、家族信託は柔軟な設計が可能で、親子間で信頼関係が築けていれば、家庭内での解決策として非常に有効です。

家族信託の具体的な活用例|行政書士が見た実務

たとえば、八王子市内に住むAさん(80歳)は、最近物忘れがひどくなってきたことを心配し、行政書士に相談。将来、自宅の管理や介護施設入所時の費用支出について不安があるとのことでした。

Aさんは長男を受託者とし、家族信託契約を締結。自宅不動産を信託財産とし、Aさんが生きている間はそのまま住み続けること、施設入所が必要になった場合は長男の判断で売却や運用ができる内容にしました。

このような形で家族信託を組んでおけば、将来、Aさんが認知症を発症しても、長男は法的に有効な契約に基づいて財産管理が可能になります。

注意すべきポイント|家族信託の落とし穴

1. 契約内容が複雑
自由度が高い分、契約設計を誤るとトラブルのもとになります。専門家によるサポートが必須です。

2. 受託者の選定
信頼できる人物を受託者にしなければ、逆にリスクを高める結果になります。慎重に選びましょう。

3. 税務や法務への影響
家族信託は贈与税・相続税・登記などの税務面や法律面にも影響するため、行政書士・税理士といった専門家と連携することが大切です。

まとめ|認知症対策としての家族信託を検討するなら

認知症は誰にでも起こり得る問題であり、「まだ元気だから大丈夫」と思っていても、発症後では打てる対策が限られてしまいます。

家族信託は、元気なうちにこそ準備しておきたい制度です。八王子市にお住まいで、「もしも」に備えて家族としっかり話し合いたいという方は、ぜひ一度、行政書士などの専門家に相談してみてください。

行政書士に相談するメリット|八王子市対応

家族信託はまだ一般的に知られていない部分も多いため、「何から始めればいいのか分からない」という声をよく聞きます。伊橋行政書士法務事務所は、契約の設計や文案作成、信託財産の選定支援などを通じて、家族に合った最適な形を一緒に考えるサポートをします。

八王子市および近隣エリアにお住まいの方で、認知症対策としての家族信託に関心がある方は、お気軽にご相談ください。

家族信託を始めるには?具体的な手続きの流れ

1. 目的と内容の整理
認知症対策、相続対策、資産の管理など、信託の目的を明確にします。

2. 受託者・受益者の選定
財産を託す相手(受託者)と、その恩恵を受ける人(受益者)を決めます。

3. 信託契約書の作成
専門家のサポートを受けながら、契約内容を文章化します。契約書には、財産の範囲や管理方法、終了時期などを記載します。

4. 信託登記・口座開設などの実務対応
不動産を信託する場合は、信託登記が必要です。また、信託専用の口座を開設するケースもあります。

「八王子多摩相続遺言お悩み相談所は、この一連の流れを丁寧にサポートし、法的な不備や漏れのないように進めていきます。

成年後見制度との違いも理解しよう

認知症対策として、家族信託のほかに「成年後見制度」もありますが、この2つは大きく異なります。

成年後見制度は、すでに判断能力が低下してしまった人のために、家庭裁判所が後見人を選任する制度です。一方で、家族信託は本人が元気なうちに自発的に決める制度であり、より柔軟に使えるという特徴があります。

ただし、信託ではカバーできない部分(身上監護など)もあるため、状況に応じて両者を併用するケースもあります。伊橋行政書士に相談することで、自分に合った制度の使い分けが可能になります。