相続手続の流れをわかりやすく解説!死亡後にやるべきこと一覧
身近な方が亡くなられた後、遺族にはさまざまな手続きが待っています。葬儀や役所への届出、相続人の確認、遺産分割や名義変更など、やるべきことが多岐にわたるため、何から手を付けてよいかわからないという方も多いでしょう。
この記事では、死亡後に必要な相続手続の流れを時系列に沿ってわかりやすく解説します。期限があるものも多いため、全体のスケジュールを把握して早めに準備することが大切です。
1. 死亡直後に必要な手続き(1週間以内)
まず最初に必要なのが、役所への届出と葬儀の準備です。死亡診断書をもとに、死亡届を7日以内に市区町村に提出する必要があります。これにより、火葬許可証が交付され、葬儀・火葬が行えるようになります。
また、健康保険証や年金の資格喪失届もこの時期に行います。国民健康保険の場合、葬祭費の支給申請も忘れずに行いましょう。
2. 相続人の確定と財産の調査(〜3か月以内)
相続人の確定は、すべての手続きの前提になります。被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの戸籍をすべて取り寄せ、相続人を正確に把握します。特に前婚の子や認知された子がいる場合は注意が必要です。
次に、相続財産の内容を把握します。不動産、預貯金、株式、生命保険、負債など、すべての財産を洗い出します。この作業には時間がかかるため、早めに着手することをおすすめします。
また、この期間内に相続するか放棄するかを決めなければなりません。相続放棄や限定承認をする場合は、3か月以内に家庭裁判所へ申述が必要です。
3. 遺言書の有無の確認と検認手続き
遺言書がある場合は、内容に従って手続きを進める必要があります。自筆証書遺言が見つかった場合、家庭裁判所で「検認」という手続きを経なければ効力が発生しません。勝手に開封してしまうと罰則の対象になることもありますので注意しましょう。
公正証書遺言であれば検認は不要で、すぐに手続きに移ることができます。
4. 遺産分割協議と名義変更(3か月〜10か月以内)
相続人全員で話し合い、誰がどの財産を相続するかを決めるのが「遺産分割協議」です。合意内容を「遺産分割協議書」として文書化し、全員が署名押印します。
この協議書は、不動産の名義変更(相続登記)や預貯金の解約・名義変更など、各種手続きに必要となります。金融機関によっては、独自の書式が求められることもありますので事前に確認しておくとスムーズです。
5. 相続税の申告・納付(10か月以内)
相続税がかかる場合は、被相続人の死亡を知った日の翌日から10か月以内に申告・納付を行わなければなりません。期限を過ぎると、延滞税や加算税が発生することもあるため注意が必要です。
相続税には「基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)」があり、それを超える場合に申告が必要となります。配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例など、さまざまな控除制度があるため、事前に行政書士、税理士など専門家に相談するのが安心です。
6. その他の手続きと注意点
上記の他にも、以下のような手続きがあります:
- 生命保険の請求
- 公共料金や携帯電話の名義変更・解約
- クレジットカードやローンの整理
- SNSやサブスクリプションのアカウント整理
これらも見落としがちですが、放置すると後々トラブルになることもありますので、チェックリストを作って一つずつ確認することが重要です。
まとめ:相続手続は早めに全体像をつかむことがカギ
相続手続は、短期間のうちに多くのことをこなさなければならない大変な作業です。特に「相続放棄」や「相続税の申告」には明確な期限があるため、後回しにすると大きな損をする可能性もあります。
まずは手続きの流れを把握し、必要な書類や対応すべき機関を明確にすることが第一歩です。そして、少しでも不安がある場合は、行政書士や税理士など専門家のサポートを受けることで、確実かつスムーズに手続きを進めることができます。
「知らなかった」で損をしないためにも、正しい情報をもとに、早めに行動しましょう。
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