八王子で親なきあとの不安に備えるには?障害者グループホームの現状と課題

障害を持つ子どもを育てている親御さんにとって、「親なきあと」のことを考えるのは、とても大きな不安だと思います。住まい・ケア・生活支援など、親がいなくなった後にもその子が安心して暮らせるかどうか。特にグループホームの数や支援体制が十分かどうかは、八王子市において重要なテーマです。行政書士として、親の気持ち・子の自立・制度・現場の課題を丁寧に整理し、どう備えるかを一緒に考えていきましょう。

八王子市におけるグループホームの現状

現状の数字から見るグループホームの整備状況

八王子市の「障害者計画(令和3~5年度)」によれば、グループホームなど共同生活援助を利用している方の数は年々増加傾向にあります。
具体的には、令和元年から令和5年にかけて、利用者数が約772人から990人に増加。
また、市としても「重度・重複障害者向けのグループホーム等の整備」に力を入れていくことが明記されています。 

ただし、「利用者募集状況一覧」が公表されており、すべてのグループホームが常に空きがあるわけではないことが見受けられます。つまり需要が供給を上回っている可能性があるということです。

制度・条例・地域支援体制の枠組み

八王子市には、障害者福祉サービス全体を支える制度が整っています。障害福祉サービス申請・受給者証・移動支援・短期入所など、在宅援助も含めたさまざまなサービスが利用可能です。
また、「障害者支援施設の設備及び運営の基準に関する条例」により、グループホーム等の施設においては、利用者の意思・人格を尊重した支援・ケアが求められています。 
市は「障害のある人もない人も共に安心して暮らせる八王子づくり条例」などを制定し、差別の防止、地域での共生を目指す取り組みも進めています。

グループホームは十分足りているか?課題の整理

親としての「子離れ」と「決断」の重さ

親自身にとって、「子どもをできるだけ自立させたい」「でもまだ準備が整っていないかもしれない」「親が生きているうちに住まいや支援をどうするか決めておきたい」という気持ちは、複雑で重いものです。親なきあとを見据えるということは、親の決断を要します。そしてその決断には時間と情報と心の準備が必要です。

決断の際には次のような点を考えることが大切です:

  • 子どもの障害の程度や将来の見込み
  • どのような生活支援・ケアが必要か
  • どこで暮らすのが本人にとって安心か(通いやすさ・環境・地域包括との関係)
  • 親自身の体力・経済状況・寿命などを見通すこと

制度的・現場のボトルネック

グループホーム整備が進んでいるとはいえ、現場にはまだいくつかの課題があります。

  • 空きの不足:募集状況を見ても、すべての施設に空きがあるわけではなく、待機期間が生じることがある。 
  • 重度・重複障害者への対応:身体的ケアや医療ケアが必要な方を受け入れられる施設が限られているという声があります。市の計画でもこの分野の整備が課題として挙げられています。
  • 立地・交通アクセス:施設の場所が市内各所に満遍なくあるわけではなく、公共交通機関でのアクセスのしやすさが人によってはハードルになることがあります。
  • 人手・スタッフ体制:ケアスタッフの確保、夜間対応、専門的ケアの研修などが必要。現場の負担が大きくなる要因です。
  • コスト負担:利用者にとっての自己負担や、施設維持にかかる公費の確保など、資金面の課題もあります。

親なきあとに備えるために親ができる準備と伊橋行政書士のサポート

親ができる準備ステップ

次のような段階を踏むと、親なきあとにも安心できる設計がしやすくなります:

  • 情報収集:八王子市のグループホーム募集状況、市の福祉課・障害福祉センター・相談支援事業所などで、どんな施設がどこにどのような支援を行っているかを知る。
  • 見学・体験利用:実際のグループホームを見学したり、体験利用が可能であれば利用してみて、子どもがそこでの生活にどう反応するか見る。
  • 資金計画:利用料や自己負担の見込み、その他生活費などを試算。助成制度や補助金が使えるか確認する。
  • 法的・制度的対策:成年後見制度、契約・遺言、親族の関わり方などを整理しておく。
  • 支援ネットワークづくり:相談支援員、ケアマネジャー、医療機関、地域の福祉団体などとのつながりを早めに持っておく。

行政書士ができること:やさしく丁寧なサポート

伊橋行政書士法務事務所・一般社団法人いきいきライフ協会八王子東として、親なきあと問題に対して次のような支援を心がけています:

  • 親の不安や希望をお聞きする:まずはじっくりとお話を伺い、どんな生活を望んでいるかを整理します。
  • 制度の案内:八王子市の制度、国・都の制度、グループホームの利用手続きなど、必要な情報をわかりやすくご説明します。
  • 書類作成・申請手続きの代行・サポート:受給者証の申請、助成制度の申請、成年後見制度など。
  • 将来設計のアドバイス:資金、法的手続き(遺言、信託など)、親族との協力体制づくりなども含めてご助言します。
  • 見学同行・施設との調整のお手伝い:必要であれば施設側との情報収集や見学手続きのお手伝いもいたします。

八王子市で活用できる制度・フォロー体制

市の支援制度・助成・募集状況

・八王子市では「障害者グループホーム利用者募集状況一覧」が市公式サイトで公開されています。空きの有無を確認することが可能。
・障害福祉サービス等の制度(在宅支援・移動支援・短期入所など)の申請ができ、日常生活のサポートが受けられる。 
・条例等で利用者の権利を守る仕組みが整備されており、施設運営の基準が示されている。

今後の展望と改善が期待される方向

次のような改善が進めば、より安心できる親なきあとを迎える準備がしやすくなるでしょう:

  • 重度・重複障害者の受け入れ施設の増設
  • 住宅型グループホームや低コストな選択肢の拡充
  • アクセスの良い立地での整備、公共交通との連携強化
  • 夜間や医療的ケア含む支援スタッフの研修・増員
  • 親が遠隔になっても見守れるような見守り・ICT活用などの取り組み

まとめ:八王子市で今できる準備と、親としての決断

親なきあとを考えるのは、親にとって重い決断ですが、早めに始めることで不安は減らせます。グループホームの数は増えてきており、制度的基盤もある程度整っています。しかし、「足りているか」と問われれば、現時点では重度障害者対応、空き状況、アクセス等の面で十分とは言い難い部分があります。

親としてできることをひとつひとつ進めること、そして行政書士など専門家の手を借りることは、大きな助けになります。たとえば法的・制度的な備えを整えることで、突然の変化に備えられます。子どもの意志を尊重しながら、親の気持ち・決断を整理し、安心できる将来設計を一緒に築きましょう。