親の預金が引き出せない!?口座凍結とその対策
こんにちは。八王子市相続専門の伊橋行政書士です。
今日は、多くのご相談の中でも特に多い「親が亡くなった後に預金口座が凍結されて、引き出せなくなった」という問題について、やさしく解説していきたいと思います。
口座凍結とは?
「口座凍結」とは、銀行や信用金庫などの金融機関が、口座名義人の死亡を確認した場合に、その口座の出し入れをストップすることをいいます。
たとえば、親御さんが亡くなった後に葬儀費用を引き出そうとATMに行ったら、「取引できません」と表示されることがあります。これは金融機関が、名義人の死亡を知ったことでその口座を凍結したためです。
この凍結措置は、不正な引き出しやトラブルを防ぐために行われており、原則として、相続手続きが完了するまで解除されません。
凍結された口座のお金を引き出すには?
凍結された口座からお金を引き出すには、相続手続きが必要になります。
金融機関によって若干の違いはありますが、一般的には次のような書類が求められます。
- 亡くなった方の戸籍謄本(出生から死亡までのもの)
- 相続人全員の戸籍謄本
- 相続人全員の印鑑証明書
- 遺産分割協議書(相続人全員の署名・実印押印が必要)
- 金融機関所定の相続手続き書類
特に注意が必要なのは「遺産分割協議書」です。相続人全員の合意が必要なため、一人でも協力してくれない方がいると、手続きが進められません。
また、戸籍収集にも時間がかかることがあり、手続きを完了するまでに1〜2ヶ月、長ければ数ヶ月かかることもあります。

生前にできる3つの対策
親の口座が凍結されたあとで「もっと早く対策しておけばよかった」と後悔されるご家族はとても多いです。
では、事前にどのような対策ができるのでしょうか?以下の3つを紹介します。
① 遺言書の作成
被相続人(親)が遺言書を残していれば、金融機関の相続手続きもスムーズになります。
遺言書の内容に従って手続きすればよいので、相続人全員の印鑑や同意が不要なケースも多く、負担が大幅に軽減されます。
② 家族信託の活用
最近注目されているのが「家族信託」です。これは、あらかじめ財産の管理や処分を家族に託しておく制度です。
万が一、親が認知症になった場合でも、子どもが信託された財産を自由に管理できるため、口座凍結の問題も防げる可能性があります。
③ 定期的な話し合いと共有
最もシンプルで効果的な対策は、「家族で相続について話し合うこと」です。
通帳の場所や保有している口座、保険の有無などを、ある程度家族で共有しておくことで、突然の相続時にも慌てずに対応できます。
まとめ:早めの対策が安心を生む
親が亡くなったあと、預金を引き出せないという事態は、思っている以上に多く発生しています。
しかし、生前からきちんと準備をしておけば、こうしたトラブルは回避できます。
「まだ元気だから大丈夫」「縁起でもない」と感じる方も多いかもしれませんが、相続は“備え”が何よりも大切です。
ご不安な方は、相続遺言の専門家である「八王子多摩相続遺言お悩み相談所・伊橋行政書士法務事務所」にご相談いただくことで、スムーズで安心な相続対策が可能になります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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