「親なきあと」86%のご家族が不安を感じている理由と、今からできる備え

こんにちは。八王子市の「感情を翻訳する行政書士」の伊橋です。

日々、障害のあるお子さんを持つ親御さんや、障害のあるご兄弟をお持ちのご家族からご相談をいただく中で、「私がいなくなったら、この子はどうなるのだろう」という不安のお声を本当によくお聞きします。その不安は、決してあなただけのものではありません。

86%もの家族が抱える「親なきあと」への不安

2026年2月、日本財団が発表した全国調査の結果は、多くのご家族が抱えている不安を数字として明らかにしました。

調査結果のポイント:

  • 親なきあとに不安を感じている家族は86%
  • 重度知的障害者の家族では93%とさらに高い割合
  • 親なきあとに頼りにする相手として「兄弟姉妹」が31%で最多

この数字を見て、私は改めて感じました。多くのご家族が、日々の生活を懸命に支えながらも、心の奥底に「この先、どうなるのだろう」という大きな不安を抱えて過ごされているのだと。

ご家族が具体的に不安に感じていること

調査では、親なきあとに具体的に不安に感じることとして、以下のような声が上位に挙げられました。

1. 生活費や医療費など経済的なこと

「障害年金だけで生活できるのだろうか」「医療費や介護費用はどのくらいかかるのか」「財産をどう管理すればいいのか」——。お金の不安は、生活の基盤に関わるだけに、最も多くの方が心配されています。

2. 体調急変時や災害時など緊急時の対応

「急に体調が悪くなったとき、誰が駆けつけてくれるのか」「災害が起きたとき、一人で避難できるだろうか」——。予期せぬ事態への備えは、親御さんが最も心を痛めるポイントです。

3. 気軽に相談できる相手がいなくなること

日々の小さな困りごとや悩みを、誰に相談すればいいのか。親という存在がいなくなったあと、お子さんを支える「相談相手」の不在は、大きな孤立につながる可能性があります。

「準備したいけれど、何から始めればいいか分からない」

調査では、親なきあとに向けて何らかの準備をしている家族は57%にとどまり、約4割の方は準備に着手できていないことも明らかになりました。

準備が進まない理由として、多くの方が次のように答えています。

  • 「将来の生活にいくら必要か見当がつかない」(41.1%)
  • 「どのような制度や選択肢があるか分からない」(36.7%)

私がご相談を受ける中でも、「何から手をつければいいのか分からない」「誰に相談すればいいのか分からない」という声を本当によくお聞きします。情報がたくさんある一方で、ご自身のご家族の状況にどう当てはめればいいのかが分かりにくい——そんなもどかしさを感じていらっしゃる方が多いのです。

「兄弟姉妹に負担をかけたくない」というお気持ち

調査では、親なきあとのキーパーソンとして「兄弟姉妹」を想定している家族が最も多いという結果が出ました。

ご相談の現場でも、「兄弟に迷惑をかけたくない」「でも、他に頼れる人がいない」と涙を浮かべながら話される親御さんに、何度もお会いしてきました。

兄弟姉妹の方々も、「親が元気なうちは大丈夫だけど、自分にその役割が回ってきたとき、本当にできるだろうか」と不安を抱えていらっしゃいます。

だからこそ、「親が元気なうちに、できる限りの準備をしておくこと」が、お子さんはもちろん、兄弟姉妹の方々への最大の愛情になると、私は信じています。

伊橋行政書士としてできる、親なきあとへの具体的な備え

「感情を翻訳する行政書士」として、私がご家族と一緒に考え、準備していくのは、次のような具体的な制度や仕組みです。

1. 遺言書の作成

遺言書は、親御さんの想いを形にする大切なツールです。障害のあるお子さんに必要な財産を確実に残し、兄弟姉妹への配慮も含めた、公正で安心できる相続の形を整えることができます。

2. 任意後見契約

親御さんご自身が元気なうちに、将来判断能力が低下したときに備えて、信頼できる人に財産管理や生活支援を任せる契約を結んでおくことができます。お子さんだけでなく、親御さん自身の安心にもつながります。

3. 家族信託(民事信託)

家族信託は、親御さんが元気なうちに財産を信頼できる家族に託し、障害のあるお子さんのために計画的に使ってもらう仕組みです。成年後見制度では難しい柔軟な財産管理が可能になります。

4. 財産管理と生活設計

障害年金や各種手当、福祉サービスの利用料、医療費、将来の住まいの費用——。必要なお金を具体的に見積もり、どのように準備していくかを一緒に考えます。「見当がつかない」不安を、「見通しが立つ」安心に変えていきます。

5. 障害者総合支援法の活用

グループホームや就労支援、相談支援など、障害者総合支援法に基づくサービスを組み合わせることで、お子さんが地域で安心して暮らせる体制を整えることができます。

「あそこに行けば相談できる」という安心を

調査に関わった渡部伸氏は、「親なきあとの課題はお金のことや福祉のことなどが複合的に絡み合っている。あそこにいけば相談できるという存在があることが大切」と述べています。

この言葉に、私も深く共感します。

親なきあとの問題は、法律だけ、福祉だけ、お金だけで解決できるものではありません。それぞれの専門分野が複雑に絡み合っているからこそ、一つの窓口で、トータルにご相談いただける場所が必要なのです。

行政書士は、遺言や契約、財産管理といった法的な手続きだけでなく、福祉制度や生活設計についても、ご家族と一緒に考えることができます。

「今」から始められることがあります

「まだ自分は元気だから」「もう少し先でいいかな」——そう思われるお気持ちも、よく分かります。

でも、準備は「元気なとき」にしかできないのです。

いざという時になってからでは、冷静に考えることも、周囲と話し合うことも難しくなります。だからこそ、今、少しずつでも、できることから始めていただきたいのです。

今日からできる小さな一歩:

  • ご家族で「親なきあと」について話し合う時間を持つ
  • 障害年金や手当の受給状況を確認する
  • お子さんが利用できる福祉サービスをリストアップする
  • 信頼できる専門家(行政書士、相談支援専門員など)に相談する

あなたの「想い」を「形」にするお手伝い

親御さんの想いは、言葉にするだけでは伝わりません。でも、制度や法律という「形」にすることで、確実にお子さんの未来を守ることができます。

遺言書、任意後見、家族信託——これらは、親御さんの愛情を「見える形」に変える大切なツールです。

私は「感情を翻訳する行政書士」として、親御さんの心の中にある「この子を守りたい」という想いを、法的に確かな形にするお手伝いをしています。

専門用語は使わず、ご家族の状況やお気持ちに寄り添いながら、一緒に「親なきあとの設計図」を描いていきます。

まとめ:一人で抱え込まないでください

日本財団の調査では、相談できる相手がいると答えた方は60%でした。裏を返せば、40%の方は相談相手がいない、または相談できていないということです。

どうか、一人で抱え込まないでください。

「親なきあと」の問題は、決してご家族だけで解決しなければならないものではありません。行政書士、相談支援専門員、福祉サービス事業所、そして地域の支援者——たくさんの専門家が、あなたとお子さんを支えるためにいます。

「何から始めればいいか分からない」という方こそ、まずは一度、ご相談ください。あなたの不安な気持ちを受け止め、一緒に「今できること」を考えていきましょう。

お子さんの笑顔を守るために。
そして、あなた自身が安心して過ごせるために。
私たち専門家は、あなたの想いに寄り添い、形にするお手伝いをいたします。

参考記事:
「親なきあと不安」86% 日本財団が障害者家族を調査
https://fukushishimbun.com/series06/44472

一社)いきいきライフ協会八王子東・伊橋行政書士法務事務所
「感情を翻訳する行政書士」伊橋が
遺言・任意後見・家族信託(民事信託)・財産管理を活用し、障害者総合支援法に基づく支援を組み合わせながら、親の財産と障害のある子の生活設計をトータルでサポートしています。