公正証書遺言でも相続手続きができない?認知症と遺言書の盲点を伊橋行政書士が徹底解説

はじめに:完璧な遺言書でも「使えない」ケースがある

こんにちは。「八王子多摩相続遺言お悩み相談所」伊橋行政書士です。

「公正証書遺言を作ったから、もう相続対策は万全だ」

そう安心されている方は多いのではないでしょうか。

しかし、実際の相続手続きの現場では、形式も内容も完璧な遺言書があるにもかかわらず、銀行や法務局で手続きができないという事態が発生しています。

今回は、Yahoo!ニュースで話題になった「完璧な遺言書でも銀行が手続きを拒否したケース」をもとに、遺言書作成時に見落としがちな重要ポイントを行政書士の視点から解説します。

 

事例紹介】公正証書遺言があっても手続き不可に

 事例の概要

– 几帳面な父親が、生前に公正証書遺言を作成
– 内容:「全財産を妻に相続させる」
– 形式も内容も法的に完璧
– 父親が亡くなり、息子が銀行で相続手続きを開始

ところが、銀行窓口で告げられたのは「手続きできません」という予想外の言葉でした。

なぜ手続きができなかったのか?

理由は、財産を受け取るはずの母親が認知症を患っており、意思能力がないと判断されたためです。

遺言書には確かに「妻に相続させる」と明記されていましたが、その妻本人が認知症で判断能力を失っている状態では、銀行は法的リスクを避けるため手続きを進められません。

結局、この家族は成年後見制度を利用する必要が生じ、時間も費用も想定外にかかってしまったのです。

遺言書と意思能力の関係:法律の盲点

遺言書は「渡す相手」を決めるもの

遺言書の役割は、**

 

被相続人(亡くなった方)の意思で、誰に何を渡すかを決めることです。

しかし、受け取る側に意思能力があるかどうかは、遺言書では保証されません

銀行が手続きを拒否する理由

金融機関は、相続手続きにおいて以下の点を厳格にチェックします:

✅ 遺言書の有効性
✅ 相続人の本人確認
相続人の意思能力

特に高額な財産が動く場合、相続人が認知症などで判断能力を失っていると、後日トラブルになるリスクがあります。そのため、銀行は慎重な対応を取らざるを得ないのです。

「配偶者に全財産を」が危険な理由

高齢夫婦に多い遺言内容

60代以上のご夫婦が遺言書を作成する際、最も多いのが「配偶者に全財産を相続させる」という内容です。

この内容自体は、法律的には全く問題ありません。

 しかし、現実には…

– 配偶者も高齢化している
– 認知症のリスクが年々高まる
– 自分より先に配偶者が亡くなる可能性もある

遺言書を作った時点では元気だった配偶者が、相続発生時には認知症になっているというケースは、決して珍しくありません。

 

対策①:予備的条項を入れる

予備的条項とは?

予備的条項とは、「もし第一順位の相続人が受け取れない場合、次はこの人に」という予備の指定を遺言書に盛り込むことです。

 具体例

❌ 悪い例:
「私の全財産を妻○○に相続させる」

✅ 良い例:
「私の全財産を妻○○に相続させる。ただし、妻が私より先に死亡した場合、または遺言の効力発生時に意思能力を喪失している場合は、長男△△に相続させる」

このように記載しておけば、**万が一配偶者が認知症になっていても、自動的に次の相続人に財産が渡る**ため、手続きがスムーズに進みます。

対策②:遺言執行者を指定する

遺言執行者の役割

遺言執行者とは、遺言の内容を実現するために必要な手続きを行う人です。

行政書士や弁護士などの専門家を指定しておくことで、相続人が認知症であっても、遺言執行者が代わりに手続きを進めることが可能になります。

 注意点

ただし、遺言執行者がいても、相続人本人の意思能力が必要な手続き(印鑑証明の取得など)は別途対応が必要です。

 

対策③:家族信託の併用

 家族信託とは?

家族信託は、**元気なうちに財産の管理を家族に託す仕組み**です。

遺言書と併用することで、認知症になった後の財産管理もスムーズに行えます。

遺言書との違い

| 項目 | 遺言書 | 家族信託 |
|——|——–|———-|
| 効力発生 | 死後 | 生前から |
| 認知症対策 | △(予備的条項で一部対応) | ◎(認知症後も有効) |
| 費用 | 比較的安価 | やや高額 |

60代以上で配偶者も高齢という場合は、遺言書と家族信託を併用することで、より万全な対策になります。

 

対策④:定期的な見直しが必須

遺言書は「書いたら終わり」ではない

家族の状況は刻々と変化します:

– 相続人の健康状態
– 家族関係の変化
– 財産の増減
– 法律の改正

少なくとも3〜5年に一度は見直しを行い、現状に合った内容に更新することが大切です。

見直しのタイミング

✅ 配偶者や相続人の健康状態に変化があったとき
✅ 大きな財産の取得・処分があったとき
✅ 法律が改正されたとき
✅ 家族関係に変化があったとき

 

成年後見制度を使う場合の注意点

成年後見制度とは?

認知症などで判断能力が不十分な方の代わりに、後見人が財産管理や契約行為を行う制度です。

デメリットも理解しておく

成年後見制度には、以下のようなデメリットがあります:

❌ 手続きに時間がかかる(数ヶ月)
❌ 費用がかかる(申立費用、後見人報酬)
❌ 後見人が選ばれるまで財産が動かせない
❌ 一度始めると、原則として本人が亡くなるまで続く

だからこそ、事前に遺言書や家族信託で備えておくことが重要なのです。

 

行政書士に相談するメリット

実務経験に基づいたアドバイス

伊橋行政書士は、日々の業務で多くの相続案件に携わっています。

「法律的には正しいが、実務では使いにくい遺言書」を見抜き、実際の手続きまで見据えた遺言書作成をサポートできます。

将来のリスクまで見据えた設計

– ご家族の年齢構成
– 健康状態
– 財産の種類
– 家族関係

こうした要素を総合的に判断し、10年後、20年後を見据えた相続対策をご提案します。

 

まとめ:遺言書は「作って終わり」ではない

今回の事例が教えてくれるのは、**遺言書の「形式」だけでなく、「実効性」まで考える必要がある**ということです。

遺言作成適齢期の60代以上の方へ

✅ 「配偶者に全財産を」だけで終わっていませんか?
✅ 予備的条項は入っていますか?
✅ 配偶者が認知症になるリスクは考慮していますか?
✅ 定期的な見直しの予定はありますか?

もし一つでも「あれ?」と思うことがあれば、ぜひ一度専門家にご相談ください。

 最後に

遺言書は、ご家族への最後のメッセージです。

そのメッセージが確実に届くように、今一度、内容を見直してみませんか?

大切なご家族に、余計な負担や混乱を残さないために。
「八王子多摩相続遺言お悩み相談所」伊橋行政書士が、全力でサポートいたします。

 

📖 参考記事
https://news.yahoo.co.jp/articles/999df847f9fdf04c8e9c21aaf82cea0b1dba58ad

 

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