「相続関係説明図」とは?相続手続きで使われる書類を解説

こんにちは。多摩地区八王子市の「感情を翻訳する行政書士」伊橋です。

相続手続きを進めていると、「相続関係説明図」という書類の名前を目にすることがあります。相続登記や戸籍の確認、不動産の名義変更などに関係する書類ですが、普段の生活ではほとんど触れる機会がないため、「何のために作るの?」「家系図とは違うの?」「必ず必要なの?」と戸惑う方も少なくありません。

相続関係説明図は、亡くなった方と相続人との関係を、図を使って分かりやすく整理した書類です。相続人が誰なのかを確認しやすくなるだけでなく、相続手続きを円滑に進めるための資料として活用されます。

ただし、相続関係説明図は単に名前を並べて作ればよいものではありません。戸籍を正確に読み取り、法律上の相続人を確認したうえで作成する必要があります。相続には家族それぞれの思いや、これまでの関係性が影響することもあるため、書類上の整理と気持ちの整理の両方が大切です。

この記事では、相続関係説明図とはどのような書類なのか、どのような場面で使われるのか、作成方法や注意点について、感情翻訳家行政書士の視点からやさしく丁寧に解説します。

相続関係説明図とは?相続人との関係を整理する書類

相続関係説明図とは、亡くなった方である「被相続人」と、法律上の相続人との関係を、家系図のような形で整理した書類です。

一般的には、被相続人を中心にして、配偶者、子、父母、兄弟姉妹などを線で結び、「誰が亡くなり、誰が相続人になっているのか」を一目で確認できるようにします。

相続手続きでは、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本など、多くの戸籍関係書類を確認しなければならないことがあります。しかし、戸籍は転籍や婚姻、離婚、養子縁組などによって複数に分かれていることも多く、慣れていない方にとっては非常に分かりにくいものです。

そこで、戸籍から確認できた相続関係を一枚の図にまとめることで、相続関係の全体像を分かりやすくする役割を果たすのが相続関係説明図です。

相続関係説明図には何を書くの?

相続関係説明図に記載する内容は、相続の状況によって多少異なりますが、一般的には被相続人の氏名、生年月日、死亡年月日、最後の住所などを記載し、あわせて相続人となる方の氏名や続柄を整理します。

たとえば、夫が亡くなり、妻と子ども2人が法定相続人となる場合には、被相続人である夫と妻を夫婦として結び、そこから子ども2人につながる形で図を作成します。

一見すると家系図とよく似ていますが、目的は家族の歴史を記録することではありません。あくまで、今回の相続において法律上どのような相続関係になっているのかを説明するための書類です。

そのため、普段「家族」として生活していた人が、必ずしも法定相続人として記載されるとは限りません。反対に、長年疎遠になっている方であっても、法律上の相続人に該当する場合には確認が必要になります。

相続関係説明図はどのような相続手続きで使う?

相続関係説明図は、相続に関係するさまざまな場面で利用されることがあります。特に代表的なのが、不動産の相続登記です。

不動産の相続登記で使用する場合

土地や建物を所有していた方が亡くなった場合、その不動産を相続した人へ名義を変更するために相続登記を行います。

相続登記では、誰が法定相続人であるかを証明するために、被相続人の出生から死亡までの戸籍や相続人の戸籍などを提出することがあります。その際、相続関係説明図を添付することで、戸籍関係書類の内容を整理して示すことができます。

また、一定の条件を満たした相続関係説明図を提出することで、相続登記の手続きにおいて戸籍謄本等の原本還付を受けるために利用されることもあります。

ただし、登記申請そのものを代理できる専門家は司法書士です。不動産の名義変更まで依頼したい場合には、司法書士への相談が必要になる点も覚えておくと安心です。

遺産分割協議の準備として使う場合

相続財産を誰がどのように取得するか話し合う「遺産分割協議」を行う際にも、相続関係説明図は役立ちます。

遺産分割協議は、原則として相続人全員で行います。そのため、まず最初に「誰が法定相続人なのか」を正確に確定させることが非常に重要です。

相続関係説明図があれば、相続人全員の関係を視覚的に確認できるため、話し合いの前提を共有しやすくなります。特に、兄弟姉妹が相続人になる場合や、代襲相続が発生している場合など、相続人が多いケースでは便利です。

相続関係説明図を作るには戸籍の確認が重要

相続関係説明図を作成するためには、まず被相続人の戸籍を集め、法定相続人を確定させる必要があります。

一般的な相続人調査では、被相続人について出生から死亡までの連続した戸籍を確認していきます。戸籍をたどることで、婚姻歴や離婚歴、子どもの存在、養子縁組、認知など、相続人の範囲に影響する情報を確認します。

ここで注意したいのは、「自分たちが知っている家族関係」だけをもとに判断しないことです。

たとえば、前の結婚で子どもがいた場合や、家族が把握していなかった認知された子がいる場合など、戸籍を調査して初めて相続人の存在が分かるケースもあります。

相続関係説明図は、正確な戸籍調査があって初めて意味を持つ書類です。図そのものをきれいに作ることよりも、その前提となる相続人調査を正しく行うことが何より重要です。

相続関係説明図と法定相続情報一覧図の違い

相続関係説明図とよく混同される書類に、「法定相続情報一覧図」があります。見た目や記載する内容が似ているため、同じ書類だと思われることもありますが、両者は異なるものです。

相続関係説明図は相続関係を整理するための資料

相続関係説明図は、被相続人と相続人との関係を図式化し、相続関係を分かりやすく説明するために作成する書類です。

作成した図そのものについて、法務局が相続人の関係を認証する制度ではありません。そのため、相続手続きの補助資料として使用される性質のものと考えると分かりやすいでしょう。

法定相続情報一覧図は法務局の制度を利用した書類

法定相続情報一覧図は、「法定相続情報証明制度」を利用する際に作成する一覧図です。必要な戸籍関係書類と一覧図を法務局へ提出し、登記官による確認を受けることで、認証文が付された写しを取得することができます。

この写しは、相続登記や金融機関での預貯金手続きなど、一定の相続手続きにおいて、戸籍謄本等の束に代えて使用できる場合があります。

相続手続きが複数の金融機関や不動産にまたがる場合には、法定相続情報一覧図を取得しておくことで、戸籍を何度も提出する負担を減らせることがあります。

相続関係説明図を作成するときに注意したいケース

相続関係説明図は比較的シンプルな書類に見えますが、相続関係が複雑になると作成にも注意が必要です。

たとえば、被相続人が再婚しており、前婚の子と現在の配偶者との間の子がいるケースでは、どちらの子も相続人となる可能性があります。また、相続人となるはずだった子が被相続人より先に亡くなっている場合には、その子どもが代襲相続人となることがあります。

兄弟姉妹が相続人となるケースでは、被相続人の父母の戸籍までさかのぼって確認しなければならないこともあり、戸籍収集が複雑になりやすい傾向があります。

「相続人はこの人たちだけだと思う」という思い込みで遺産分割協議を進めてしまうと、後から別の相続人が判明し、協議をやり直さなければならない可能性もあります。分からない点がある場合は、早い段階で専門家へ確認することが大切です。

伊橋行政書士は相続関係説明図の作成をどう支援できる?

行政書士は、相続手続きに必要となる戸籍収集や相続人調査、相続関係説明図、遺産分割協議書などの書類作成を支援できる場合があります。

特に、仕事や家事で時間が取れず戸籍を集めるのが難しい方や、古い戸籍の読み方が分からない方にとって、専門家へ依頼することで手続きの負担を軽減できることがあります。

一方で、相続登記の代理は司法書士、相続税の申告は税理士、相続人同士で争いになっている場合の法律相談や代理は弁護士の専門分野です。

相続は一つの専門資格だけで完結しないことも珍しくありません。そのため、行政書士へ相談する場合には、必要に応じて司法書士や税理士、弁護士など他士業と連携できるかどうかも確認するとよいでしょう。

感情翻訳家行政書士が考える「相続関係を整理する」ということ

相続関係説明図を見ると、そこには名前と続柄が線で結ばれています。しかし、実際の家族関係は、その線だけでは表現できません。

「ずっと親の介護をしてきた」「兄弟とは何年も連絡を取っていない」「自分だけが家族のことを背負ってきた気がする」など、相続の場面では、これまで言葉にしてこなかった感情が表に出ることがあります。

法的には同じ相続人であっても、それぞれが抱えている思いや背景は違います。その違いを無視したまま手続きを進めると、単なる書類の問題だったはずが、家族間の大きな対立につながってしまうこともあります。

感情翻訳家行政書士として大切にしているのは、「誰が正しいか」だけを見るのではなく、その言葉の奥にある気持ちや事情を丁寧に整理することです。

たとえば、「自分は多く財産をもらうべきだ」という言葉の背景に、「長年親を支えてきたことを分かってほしい」という思いがあるかもしれません。反対に、「平等に分けたい」という言葉の奥には、「これ以上家族でもめたくない」という気持ちが隠れている場合もあります。

相続関係説明図は法律上の家族関係を整理するための書類ですが、相続手続きを円滑に進めるためには、図には表れない「感情の関係図」にも目を向けることが大切だと考えています。

相続関係説明図は自分で作成できる?

相続関係説明図には決まった専用用紙があるわけではないため、必要な情報を正しく記載できれば、ご自身で作成することも可能です。

パソコンの文書作成ソフトなどを使って作ることもできますし、相続関係が単純であれば比較的作成しやすいでしょう。

ただし、自分で作成する場合にも、その前提となる戸籍の読み取りと相続人の確定が重要です。作図ができていても、法定相続人が一人抜けていれば正確な相続関係説明図とはいえません。

再婚歴がある、兄弟姉妹が相続人になる、代襲相続があるなど、少しでも相続関係が複雑な場合には、無理に自己判断せず、行政書士など相続実務に詳しい専門家へ相談することをおすすめします。

まとめ|相続関係説明図は相続手続きを整理する第一歩

相続関係説明図とは、亡くなった方と法定相続人との関係を家系図のように整理し、相続関係を分かりやすく示すための書類です。

相続登記などの手続きで利用されるほか、遺産分割協議を始める前に相続人を確認する資料としても役立ちます。一方で、相続関係説明図を作るためには、被相続人の戸籍を正確に確認し、法定相続人を確定させることが欠かせません。

相続では、法律や書類の整理と同時に、家族それぞれの気持ちを整理することも大切です。相続人が増えるほど、「誰が相続するか」という法律上の問題だけではなく、「これまで家族の中で何があったのか」という感情の問題も複雑になりやすくなります。

相続関係が分からない、戸籍の集め方に自信がない、相続人同士でどのように話を進めればよいか悩んでいるという場合には、一人で抱え込まず、相続手続きを扱う行政書士などの専門家へ相談してみてください。

相続関係を正しく整理することは、円滑な相続手続きを進めるための大切な第一歩です。法律上の関係と家族の思いの両方を丁寧に確認しながら、納得できる相続につなげていきましょう。

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八王子多摩相続遺言お悩み相談所」(伊橋行政書士法務事務所内)
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